2002年12月8日

スタジオJ's Garageがグレード・アップ

スタジオといってもただの部屋なんですが,ちょっとだけ機材がグレードアップしました。

約1年前に,Review#95「マックのある生活#3(ホームレコーディング)」をアップした時,最後にこんなことを書きました。
現時点で私が必要とするシステムが,ほとんど揃っています。欲を言えばキリがありませんが,できればデジタル・ミキサーが欲しいですね。あとはLogicAudio上で使えるソフトウエア音源とか。
ということだったんですが,予告通りこの2つを手に入れることができました。

そこで今回は,不定期に活動しているバンドの練習用に作ったデモ・テープのレコーディングの手順に沿って,現在のスタジオのシステムをご紹介いたします。曲はスピッツの「空も飛べるはず」です。

まず,今回使用した機材は次のとおりです。
コンピュータ PowerMacG4
ソフト LogicAudioSilver4.8
オーディオ・
インターフェース
Audiowerk2

MIDI
インターフェース
amt8
MIDI音源 RX5
XV-5050
ソフトウエア音源 Battery
マスターキーボード M1
デジタルミキサー VM-3100
マイク SM-57LC
エレクトリック・
ギター
FenderTelecaster
アコースティック・
ギター
モーリスTF-50

それでは,レコーディングの手順にそって説明します。

●準備
既存の楽曲のコピーですので,まず最初にバンドスコアをコピーして,これに小節番号をふります。これをやらないと,スコアとLogicAudioのデータとの比較をすることができません。

●ドラム

ドラムはM1を弾いてRX5を鳴らしながらリアルタイムに打ち込みます。マウスで♪を貼り付けるやり方もありますが,それだと音の強さ(ベロシティ)が一定になってしまうため味気ないフレーズになってしまいます。とはいっても1曲通してリアルタイムに打ち込むのは大変なので,パートごと(イントロ,Aメロ,Bメロ...)に分けて打ち込みます。弾き始める前に,M1のどのキーを弾くと,ドラムのどの音が鳴るのかを確かめてキーを叩きます。

LogicではMIDIシーケンスを繰り返し再生する(ループ)ことが簡単にできるので,同じパターンが延々と続くような時は,1パターンだけ入力してループさせればOKです。また,ドラムの各楽器(キック,スネア,ハットなど)ごとに,別々のトラックに入れていきます。こうしておくと,例えばスネアのパターンは違うけどキックのパターンは前の小節と同じ,という時にパターンの使いまわしがしやすいからです。打ち込みが終わったらタイミングのずれをクォンタイズで修正します。

●ベース

ベースはM1を弾いてXV-5050を鳴らしながら打ち込みます。かといって,ドラムのようにリアルタイムに譜面どおり打ち込むのは,私には無理なので,苦肉の策として,タイミングはリアルタイムに打ち込み,あとで音程を調整するというやり方を試してみました。まず,M1のキー1つだけを使って,ベースのタイミングだけを打ち込みます。この曲はCメジャーなので,C0のキーで打ち込むと,あとからの修正が楽になります。タイミングのずれはクォンタイズで修正します。画面上にC0の♪が,タイミングだけは合っているが横一線に並んだ状態で表示されました。次にそれぞれの♪を譜面を見ながらマウスで上下にドラッグして音程を合わせていきます。

●ガイド・ボーカル


ドラムとベースの打ち込みが終わったところで,普通ならギターの録音という順番になりますが,ギターを録音する際にボーカルが入っているほうが,今どこをやっているのかをつかみ易いので,ガイド用にボーカルを録音します。ドラムとベースだけのオケなので,いまいち音程がとりにくいところはありますが,あくまでガイド用なので,全部のオケが完成したあとは,もう一度歌いなおして差し替えます。マイクはSM57LCを使用。これはもともと楽器録音用のマイクなのでポップノイズを防ぐため,ポップスクリーンをマイクの前に立てて録音します。Logicにはエフェクトが一切かかっていない生の声を録音しますが,ヘッドフォンに送るモニターにはリバーブがかかっているほうが気持ちよく歌えて,音程もとりやすいので,デジタルミキサーに内蔵されているリバーブをたっぷりとかけてやります。ガイド用なのでさらっと一発撮りでOK。録音済みのボーカルトラックは,ノーマライズをかけてピークノイズが出ない程度に音量をあげておきます。

●ギター1
ギター1は生ギターのコードストローク。私のギターにはピックアップがついているのですが,いまいち音が良くないので,マイクをたてて録音することにしました。生ギターのコードストロークは,私が唯一,一曲通して演奏できるものなので,細工なしにひたすら何回も弾き直して録音します。

●ギター2
ギター2は,エレクトリック・ギターのリード。イントロ,間奏,エンディングに出てくる8小節のフレーズを弾きます。こいつは指が痛くなるくらい何回も練習したけど,結局8小節通してきっちり弾くのは私には不可能と判断して,3つに分けて弾いて録音しました。(お恥ずかしい。)

●ギター3
ギター3は,エレクトリック・ギターによるアルペジオ。ギター1のアコースティック・ギターに絡まるようにアルペジオをピックで弾きます。コードチェンジがうまくいかない箇所があったので,そこだけパンチインで修正してごまかしました。

●ギター4
ギター4は,ギター2のウラで鳴る2小節のパターン。2小節だけ弾いたやつをコピー&ペーストしてOK。

●ギター5
ギター5は,ギターソロ。これはハマリング,チョーキング,ベンドダウンなどを多用する,ディストーションがぎんぎんとかかった難しいソロなので,最悪の場合は,M1で打ち込んで音源を鳴らすことになるかも?と考えていたのですが,ギター2と同じ要領で,細かく何箇所にも分けて弾いたものをLogic上で合成することで,なんとか聞けるテイクができました。

●ボーカル
バッキングがほぼ完成したところで,ボーカルの録りなおし。今度は,ギターの音も入っているので音程が取りやすくなっています。テイク2でOK。

●バックグラウンド・ボーカル
バックグラウンド・ボーカルは「君と出会った奇跡が〜」の部分のハモリと,「深い眠りから覚めて〜」の部分の「ウ〜」という3声コーラスです。ハモリは,ボーカルも含めてミックスを抑えめのボリュームでモニターしながら録音します。オリジナルのCDを聞いてハモリのメロディーラインを覚えているので,割と簡単にOKテイクがとれました。3声コーラスは,CDを聞いただけでは音がとれないので,まずスコア通りにMIDIシーケンスを作り,1声ずつMIDI音源を鳴らした音をモニターしながら録音します。1声につき2回ずつ歌ったものを重ねると,まあまあ聞けるトラックができました。

●トラックダウン

できあがったトラックをミックスして曲として仕上げる工程です。まず,RX5で鳴らしていたドラムトラックを,Batteryというソフト音源に差し替えます。別売りのStudioDrumsという生ドラムのサンプル集を使うと,実に生々しいドラムの音に生まれ変わります。次に,BatteryやXV-5050を鳴らした音を,個別のトラックに録音していきます。以前は,MIDI音源の音をデジタルミキサーでミックスしていましたが,すべてのトラックをLogicに取り込み,Logic上ですべての音をミックスするやり方のほうが柔軟性があり,ミックス終了後すぐにCDに焼く作業に移れるなどの利便性があるのです。個々のトラックごとに,コンプレッサーで音圧を上げたり,リバーブやディレイなどのエフェクトをかけたりした上で,全体のバランスをとっていきます。マスターアウトを波形ファイルにバウンスして,それをもう一度Logicに取り込んでノーマライズすればマスターテイクができあがります。最後に,マスターテイクをiTunesに取り込んでCDに焼けば,すべての作業が終了です。

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