1999年12月31日

ヘッドフォンの話

寒い冬の休日は,家でのんびりとCDを聴くのにぴったり。そんな時お世話になるのがヘッドフォン。


マンションという住宅事情もあって,家でCDを聴いたり,楽器の音を聴く時はだいたいヘッドフォンを使っています。モニタースピーカーより音が良いという事情もありますが。
下の写真は私が所有する2つのヘッドフォン。MDR-CD900STとMDR-Z900,どっちもソニー製。(懲りないやつ)



どちらも900という型番がついているので,元々は同じ機種(MDR-CD900?)から派生してできた兄弟なのかもしれません。

この2つのヘッドフォンの大きな違いはどこかというと,プロ用と民生用という用途の違いということになりますか。


MDR-CD900ST

8MDR-Z900

どこで売っているのか (私が買った店) 大きな楽器店 (LAOX楽器館) オーディオ売り場 (ヨドバシカメラ)
見た目の違い そっけない作り 箱はただの白ボール ていねいな作り カラフルな箱入り
音の違い 小さな音も大きな音も 高い音も低い音も 良い音も悪い音も シビアに再生する 長時間聴くと少し疲れる 良い音だけど CD900STよりは音がマイルド
定価 18,000円 25,000円
詳しい情報 So-netインターネットショッピング SonyDriveの商品情報

本当は目的に応じて2台をとっかえひっかえすればベストなのですが,MDR-Z900は同居人が家でホルンの練習(YAMAHAのサイレントブラス使用)をする時に使っているので,もっぱらMDR-CD900STを使っています。


Review#77で紹介した「サウンド&レコーディング」1月号の表紙に写っている,山下達郎が頭につけているヘッドフォンもMDR-CD900STです。サンデーソングブックという彼のラジオ番組でもおすすめのヘッドフォンとして紹介していました。


山下達郎はレコーディングの時はもちろん,家でDATウォークマン聴くときも,これを愛用しているそうです。(首にコードがからまった状態で目覚めたこともあるとか)
なんだかんだ言っても,MDR-CD900STは国内のレコーディングスタジオで業界標準のヘッドフォンなので,ずいぶん昔からほしかったヘッドフォンなのです。


今年の夏にLAOX仙台店の楽器館ではじめて現物を見つけ,即座に奪うようにして買ってしまいました。


その後くだんの楽器館にMDR-CD900STの展示品が見かけないので,取り扱うのやめちゃったのかも。(営業妨害じゃないよ)


音が良いとよく言われるMDR-CD900STですが,私にとっては「音が良い」というよりも「音の良し悪しがシビアに聴き取れる」という感じ。CDとMD,DATとMDの音の違いは,うちの安いスピーカーとかカーオーディオではほとんどわかりませんが,このヘッドフォンで聴くと「全然違う」のがシビアに,怖いくらいわかってしまいます。


1999年12月27日

ON THE STREET CORNER 3

山下達郎のライフワークとも言うべき"ON THE STREET CORNER"シリーズの第3作がリリースされました。




"ON THE STREET CORNER"は,もともと50年代の黒人ドゥワップを,達郎一人の多重録音でカバーしようという企画だ。ON THE STREET CORNER 2からは,ドゥワップに限らずスタンダードナンバーもカバーしています。

3作目となる今回はアラン・オデイ作詞,山下達郎作曲のオリジナル曲"Love Can Go The Distance"も収録され,アルバムに先立ってシングルもリリースされました。

オンストの番外編として,11月末にはケンタッキーフライドチキンで達郎のCDセットなるものがメニューに乗ったりしている。このCDは達郎のファンクラブ会報"Tatsuro Mania"の99年冬号にもジャケットを替えて収録されました。

さて,楽曲もさるところながら,気になるのはどうやってレコーディングが行われたかというエンジニアリングへの興味だよなぁ,と思っていたらサウンド&レコーディング1月号でさっそく取り上げてくれました。達郎へのインタビューのほか,マニピュレイターの橋本氏やエンジニアの吉田保氏のインタビューもあり,至れり尽せりといった感じ。




他にも多くのメディアに登場していますが,興味深かったのはロックンロールニューズメイカー1月号別冊のZakkiに掲載された達郎のコラム。「この1年で心に残った17の出来事」には,Gatewayのパソコンを使っていること,トルネコの大冒険が好きなこと,福井県の「火いら寿」という酒を飲んでいること,などなどファンが泣いて喜ぶような話がいっぱい。




Review#65に書いた昨年12月28日の中野サンプラザでのライブは「一番気持ち良かったライブ」だったそうで,うれしくなっちゃいます。惜しいことに録音してなかったそうですが。

バイオノートXR

というわけで,Windowsでは2代目となるお仕事パソコンに選んだのは,バイオノート PCG-XR7Gです。正直いってこれ以外のチョイスはほとんど考えられませんでした。



CPUはモバイルPentiumIII 450MHz,メモリーは64MB,ハードディスクは10GB,画面は13.3型XGA。本体右側面にはCD-RWが内蔵されています。これでバックアップも一発でOK。


フロッピーディスクドライブは外付けもしくは,CD-RWと交換で使うようになりますが,最近は必要性も減ってきているし,いざとなれば職場や自宅のLANにつながっているデスクトップパソコンのFDDを使わせてもらえばOKなのです。


ディスプレイを開くと,本体後部にあるフラップも自動的に開いて,上の写真のような状態になります。CPUの冷却効果を高めるためとのことですが,こういうさもない仕掛けが,メカ好きなサンダーバード世代にはたまらんのですね。




ポイント還元で購入したパワーアップステーションを接続すると,TV出力とか光オーディオ出力などが使えるようになります。
特にTV出力はMicrosoft PowerPointを使ったプレゼンテーションにはとっても便利。TV出力はコンポジット端子とS端子の2系統あって,コンポジットはにじみが目立ちますが,S端子はさすがにくっきりはっきりしています。

ハードディスク壊れる

97年3月以来,仕事用に使ってきたノートパソコン(FMV-5150 NA3/W)のハードディスクが,12月の初めに突然壊れてしまいました。



使っている最中に突然ハードディスクから「カチャンカチャン」という異音がしたかと思ったら画面がすっかり凍りつき,強制的に再起動したところ,今度はハードディスクをぜんぜん認識してくれない。



起動フロッピーで起動してFDISKを実行してみると,「ハードディスクがありません」という情けないメッセージが出る始末。



仕方なくメーカーに修理に出したところ,1週間ほどして帰ってきた答えは「ハードディスクが壊れたようです」



どこが壊れたのか,どうして壊れたかもわからず,当然のことながらデータは全滅。



悪いことは重なるもので,定期的にとっていたバックアップを2ヶ月ほどサボっていたため,10月から12月初めにかけて更新されたデータはオシャカになってしまった。



16年近くパソコンを使ってきて,これほど大きな損害は初めてでした。ハードディスクが壊れたということよりも,データが戻ってこないということが,あまりにショックが大きかったのです。みなさん,バックアップはこまめにとりましょう。



ということで,ふつうならハードディスク交換ということになるわけですが,あんまりくやしかったので,パソコンを買い換えることにしてしまいました。(なんだそれ?)



ワン・マン・アカペラに挑戦

ハードディスク・レコーディングの環境が整って,最初に本格的なマルチトラック録音に挑戦したのは,山下達郎が"ON THE STREET CORNER 2"というアルバムでカバーしている"So Much In Love"の1人アカペラでした。



昔うちの奥さんが耳コピーした譜面を元に,ガイドトラックをMIDIトラックに打ち込んで,それをモニターしながら1つずつ録音していきました。
下の画像はMicro Logic AWのアレンジウインドウですが,一番下の青緑色のトラックがガイドトラックです。

その上はすべてオーディオトラックで,一番上の青いトラックがベースパート。以下サード(黄色),セカンド(黄緑色)のコーラスが3回ずつ,トップコーラス(赤)が2回,そして最後にメインボーカル(水色)が録音されています。




オーディオトラックを開くと,下図のようなサンプルエディタが起動し,ノーマライズで音圧を上げたり,いらないところを削ったりすることができます。



12個まで使えるオーディオトラック全部使ってどうにかこうにかミックスまでできました。音程の悪いのはどうしようもないが,まあまあ聴ける。
オーディオトラックが多いと,何度も何度も歌い直してOKテイクだけ残すという手が使えるからいいですね。


J's Garage Studioのリニューアル

Review#44で紹介したJ's Garage Studioがリニューアルしました。もっとも大きな変化は,PCを用いたハードディスクレコーディングの導入です。


ハードディスクレコーディングとは,録音用メディアにハードディスクを用いる録音方法で,Roland VS-880などのような単体のハードディスクレコーダーもありますが,私が選んだのはPCを使ったハードディスクレコーディングです。


これまで音楽用に使っていたMacintosh IIciが館林に嫁入りしていった(Review#71「Macintosh IIci 復活」)ため,かわりにインターネットなどに使っていたGateway GP6-400を,新たに音楽用パソコンとして使うことにしました。


PCに録音するためには,音を取り込むオーディオカードと,取り込んだ音を編集するソフトウエアが必要です。
私がやりたいことができて,コストパフォーマンスの高いものはと,いろいろ調べた挙句,emagic社のAudiowerk2に決めました。(日本代理店はMIDIA)




Audiowerk2に決めた理由は次の3つ。

アナログ2in2out,デジタル2in2putのシンプルな設計
上位機種Audiowerk8譲りの高音質
Micro Logic AWというソフトが付いてくる
Audiowerk2と添付ソフトのMicro Logic AWだけで,12トラックのハードディスクレコーディング環境が整ってしまうコストパフォーマンスの高さが決め手となりました。




その他のスタジオの機材構成は前と変わっていませんが,MTRとして使っていたTASCAM DIGITAL PORTASTUDIO 564は,MTRとしては使われなくなりました。
でも,もともとミキサー部分が比較的充実しているので,ミキサーとしてだけ使っています。




レコーディングからトラックダウンまでの手順は次のとおりです。


  1. MIDIトラックの打ち込み Micro Logic AWのMIDIトラックに,ドラム・ベース・キーボードなどのパートを打ち込む。
  2. オーディオトラックの録音 MIDIのバッキングを聴きながらMicro Logic AWのオーディオトラックにボーカルやギターを録音していく。
  3. 波形の編集 オーディオトラック上の波形データを開き,余分な個所をカットしたり音圧を上げるなどの処理をほどこす
  4. ミックス Micro Logic AW上でオーディオトラックのバランスをとったり,リバーブ,ディレイ,イコライジングなどのエフェクト処理をほどこしていく。
  5. トラックダウン ミキサーにAudiowerk2のミックスとMIDI音源の出音を立ち上げてバランスをとり,ステレオミックスをDATに録音する。

564に接続したマイクやギターなどの音は,Effect Sendを経由してAudiowerk2に送られ,ハードディスクに録音されます。同時に録音できるのは2トラックだけですが,ボーカルとギターくらいしか録音しないので必要十分といえます。


オーディオトラックは最大16トラックまで作ることができて,同時再生は12トラックまで。
またオーディオトラックはモノラルだけでなくステレオ録音もできます。


Micro Logic AWの上位バージョンにあたるLogic Audioを使えば,使えるトラック数やエフェクトの種類などもぐんと増えるので,いずれはLogic Audioにアップデートしたいと思っています。