前回のアルチザン・ツアーはチケット入手できず涙...そしてファンクラブ入会...あれからすでに6年。
「COSY」が発売されても,チケットが自宅に届いても,いよいよ前日となってもいまいちピンとこなかったのに。いざ会場に入って照明が落ち,「FRAGILE」のアカペラコーラスがわーっと流れるなか,メンバーが(先頭は佐橋だ!),そして達郎がステージに登場しただけでもうグッときてしまった。
そして意表を突かれた1曲目「SPARCLE」。達郎の鉄板ギターが炸裂する。
前回のライブの時,自分はどうしてたかな。その前の時は?その前はどんなだっけ?その時隣に座っていた人は?と,過去の達郎ライブの思い出と,当時自分が置かれていた状況や心境がわーっと駆け巡る。隣では「生達」初体験のたけうちが,感激というよりはあっけにとられたような顔で達郎を見つめていました。
この9年の間,いろんな人のコンサートに数多く行きましたが,じっくりと安心してみていられるコンサートはそんなに多くはない。そして,9年ぶりに達郎のコンサートに身を置いてみて,「ああ,自分はやっぱりここに帰ってくるのが夢だったんだな,達郎が帰ってきてくれて本当によかったな」という気持ちで,またまたグッときてしまいました。
ステージのセットは「リゾート」のイメージでしょうか。両側に建物,奥には椰子の木,その向こうには入り江と灯台。左側の建物には「COSY」と竹内まりやのポスター,右側の建物には「Cafe」の赤いネオンが光る。達郎の左には噴水,右側の足元にはゴジラの人形,マイクスタンドにはおもちゃのタンバリン。
メンバーはドラム青山純の左にギター佐橋佳幸,右にベース伊藤広規。左奥にはサックス土岐英史,右奥にはコーラスの国府百合絵・佐々木久美・三谷泰弘。左手前にキーボード重実徹,右手前にピアノ難波弘之。
今回のツアーメンバーで,コーラス三谷氏とギター佐橋氏の人選は予想がぴったり当ってうれしかった。かつてスターダストレビューに在籍していた三谷氏は本来はキーボーディストですが,コーラスもお手の物。村田和人・佐藤竹善についで三代目の男性コーラスを見事にこなしていたし,達郎との声の相性もぴったり。
佐橋のギターはいつもながらカッコイイ。それにこれまでの達郎ライブの音にとても忠実な音を出していた。欲を言えば,もっと佐橋に前に出てもらいたかったが,それは次回のお楽しみにしておこう。
今回,珍しくMCが多かったように感じました。「7年ぶりのリハビリライブ,声は10年前より出ているけど体が声についていけない」「頭は薄くなったが,会場を見ると人のこと言えないようなお客が増えてきたのでほっとした」「三波春夫さんに負けないようやれるだけやります」などなど,心強い話が聴けて嬉しかったです。
ちょっと残念だったのは「COSY」の曲が2曲しかなかったこと。リハビリライブだということと,「COSY」の曲がどれもステージで再現するのが難しいということもあったようです。
「次のオリジナルアルバムは今世紀中に出したい」と言ってましたが,その前にぜひ「COSY」ツアーをやってほしいと思うのです。
ツアーが終わったら竹内まりやのニューアルバムに全力投球,そして来年末には待望の「ON THE STREET CORNER 3」をリリースしますと約束してくれました。
次回は12月28日,今年最後の中野サンプラザを見にいきます。
【演奏曲リスト&おせっかいな解説】
1.Sparkle
達郎ライブでは定番の曲ですが,1曲目に演奏したのは久しぶり。ダークブラウンのFenderテレキャスターは健在でした。
達郎はブルーのジャケットにブルーのパンツ,そしてブルーのシャツといういでたち。
2.Daydream
「こんばんわ仙台,ひさしぶり!」の決まり文句のあと,ライブでは初めて聴く「Daydream」
3.Donut Song
イントロのニューオーリンズビートが延々と流れる中,少し長めのMC。かつて県民会館の名物と言われた「扉の金屏風」が無くなっていることに時の流れを感じさせられたとか。
曲の後半では,大滝詠一の「ハンド・クラッピン・ルンバ」を歌いながらタンバリンたたいて客席に「「右手左手合わせりゃ音出る拍手手拍子」のお願い。
4.Paperdoll
唯一,達郎のリードギターが聞けて,ブレイクがとてもかっこいい曲。詩の内容はお得意の「ちょっと気の弱い男」の世界。後半は,佐橋〜重実〜難波とつづくソロの応酬で盛り上がる。
5.群青の炎−Ultramarine Fire−
MCのあとハンドマイクでステージ前方を歩きながら歌う。ライブで聴いてますます好きになりました。佐橋のガットギターもかっこいい。達郎の左側には,この曲のためだけにウインドチャイムが置かれていました。
6.こぬか雨
シュガーベイブ時代の曲。94年の「Sings SugarBabe」コンサートでもギターを弾いていた佐橋は,学生時代シュガーベイブのコピーを盛んにしていたそうで,見事な演奏。
7.夏の陽
84年にNHK-FM「サウンドストリート」で,ライブ特集をやった時に聴いた曲を,初めてライブで聴くことができた。後半のコーラスが盛り上がる中,「ヘロン」の一節を歌っていました。
8.風の回廊
達郎のセミ・アコースティックギターによるミュート気味のピッキングで始まる新しいアレンジ。
9.潮騒
定番のピアノ弾き語り。今回は「ご夫婦でこられた皆さんへ,出会った頃のあの夏の日を思い浮かべて」と前置きして潮騒を弾き語りしてくれました。85年のシングル「風の回廊」のB面(当時はドーナツ盤)に収められていたライブのアレンジとまったく同じ。コーラスのかかったフェンダーローズのきらびやかな音もすばらしい。
10.Stand by me(11/15のみ)
11.Close youe eyes
12.Chapel Of Dreams
13.Smoke gets in your eyes
いよいよ中盤のアカペラコーナーへ突入。11/15は6時開演ということでアカペラが1曲多かった。「キョードー東北の担当者からの熱烈なリクエストに応えて」と前置きして,ライブでは初めての「Stand by me」。
そして「ON THE STREET CORNER 1」から「Close youe eyes」,「ON THE STREET CORNER 2」から「Chapel Of Dreams」を歌ってくれました。
最後は「Season's Greeting」から「Smoke gets in your eyes」の熱唱。
14.クリスマス・イヴ
アカペラコーナーの後「White Christmas」の2番が流れる中,再びメンバーが入場。
コーラスの多い曲なのにコーラス3人がいないのは,テープでないと再現不可能だから。
15.蒼氓
クリスマス・イブのコーラスがフェイドアウトすると同時に,難波弘之のピアノで始まるこの曲。昨年はJACCSカードのCMにも使われていました。前回のライブでは後半のコーラスを客席も一緒になって歌った。(「JOY」に収められたテイクです)
コーラスの間,岡林信康の曲の一節「私たちの望むものは生きる苦しみではなく」を歌っていました。
16.ゲット・バック・イン・ラブ
MCでは,メンバーのプロフィールを紹介。このツアーが始まるまで,青山-伊藤のコンビは中島みゆきのツアーに,佐橋は佐野元春のツアーに参加していた。キーボード重実氏はキロロのアレンジを担当しているそうです。
さて,雇ったキーボーディストがこの曲のイントロを弾けなくて,ツアーの初日を飛ばしたことがある,といういわくつきの「ゲット・バック・イン・ラブ」。レコーディングの時に弾いていた難波さんはもちろんノープロブレム。
かなりきつい高音が出てきて,前回のライブ(「JOY」じゃないやつ)では達郎も声が裏返ったりしたことがありましたが,今回は絶好調でした。
17.メリー・ゴー・ラウンド
18.Let's dance baby
19.Loveland, Island
いよいよ後半,「JOY」を聴いた人にはおなじみのナンバーがおなじみのアレンジで続く。「メリー・ゴー・ラウンド」は歌のビートとギターのビートがぜんぜん違う曲。ギターは右脳,ボーカルは左脳ってところでしょうか。
「Let's dance baby」では「心臓に指鉄砲」でクラッカー炸裂。(一緒に行った方々,ご協力に感謝)ゴミはちゃんと持ちかえりました。
拡声器片手の「ヒュー」でおなじみ「Loveland, Island」あたりから,恐る恐る立ち上がる。後半でメンバー紹介のあと,一旦ステージを引き上げる。
−アンコール−
20.パレード
割れるような拍手の中,ふたたび登場。達郎は白いシャツに着替えています。曲はシュガーベイブの「パレード」
21.Funky Flushin'
22.硝子の少年
23.Bomber
佐橋のギターで始まる「Funky Flushin'」。途中に「硝子の少年」「Bomber」が入り,また「Funky Flushin'」へと続くメドレーでした。
24.ライド・オン・タイム
しめくくりはやっぱりこの曲。「チャカチャーン」というギターのカッティングを,佐橋はかっこいいアクションつきで演奏してくれた。
脚立の上でマイクなしで歌うというお約束。体はさすがにつらそうでしたが,いつもどおり素晴らしい張りのある声を聴かせてくれました。
25.Your Eyes
メンバーが全員引き上げた後,マイクスタンドを前に出して一人アカペラの「Your Eyes」。今回いままでになく近くで見られたので,歌う前に笛を吹いて音程を確かめている様子がはじめてわかりました。
"Because I love you, The one who made my dreams come true"という最後の歌詞を聴きながら,私は胸がいっぱいになってしまいました。「私の夢を叶えてくれるのはやっぱり達郎しかいない」
2005年の回想
このライブからもう8年が立ちました。昨年,ニューアルバムをリリースしましたが,ツアーはおあずけ状態です。来年の春くらいから始まってほしいと思います。